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しげぞーの他人には厳しく

しげぞーの他人には厳しく

漫画家とは世間知らずばかりである

さくら出版生原稿流出騒動について考える 2003年10月28日(火)


 今朝オフィスでひょんなことからさくら出版の話になった。
 最初はブックオフへ行ったアルバイト嬢の「しげぞーさんの本が700円で売られてました。しかもあの浅田次郎さんの本の隣に並べられていたんですよ、隣にですよ。」という気持ちの良い話だったのだが、それがいつしか漫画本の話になり、そして生原稿へという流れで、さくら出版が話題になったのである。

 さくら出版のニュースについて知らない方もおられるだろうから、簡単に説明すると、倒産した出版社(さくら出版)から流出した大量の生原稿が古書店(まんだらけ)店頭で売られていたという出来事である。
 これを漫画家サイドは不正に流出したり、盗品である可能性があると主張し、生原稿はあくまで漫画家個人のものであり、かけがえのないものであるとの立場から、問題を解決したいと古書店との間で話し合いを持っているというのが、事のあらましである。
 「漫画原稿を守る会 」代表の弘兼憲史氏などがテレビでインタビューを受けていたりしたので、それなら覚えているという方も少なくないのではなかろうか。
 原稿をしっかり管理していなかったさくら出版の責任は間違いなくある。またそんな原稿を扱う古書店の姿勢にも問われる点はあるだろう。
 しかし何より根本にあるのは漫画家自身に原稿をしっかり管理しようとの意志が希薄だったことなのである。それは漫画家自身が認めているが、今回の件で世間の共感を得られないのは、出版社と漫画家の間にあったなぁなぁの関係や、原画の扱いがあまりに粗末である場合が多かったという現実から、起きるべくして起きた騒動であるとの印象が強いためである。
 基本的に連載の漫画原稿はコミックスになるまで出版社に保管され、その後返却されるが、その際のチェックも甘い場合が多いと漫画原稿を守る会代表の弘兼憲史氏も認めている。
 そしてこれはどこにも紹介されていないようだが、原稿を返されるとそこの出版社と縁が切れてしまうような気がして、返却されることをあまり望まないような漫画家もいるのである。

 私にはさくら出版の騒動は昨日のビデオリサーチ社に相通ずるものがあると感じられて仕方がない。出版社やテレビなどは漫画家を敵に回したくないためか、漫画家自身の怠慢についてはほとんど報道しない。
 しかし過去にも生原稿の流出騒動は起きているのである。ただ今回は大量に出回ったがために、大きく取り上げられることになっただけの話なのである。
 となれば、そんな事例があったにもかかわらず、その後漫画家は然るべき対応を取っていたのかどうか、責任を問われるのは出版社や古書店だけなのかどうか、答えは自ずと出る。
 今回の出来事で明らかになったのは、漫画家の浮世離れした感覚や、想像力や学習効果の無さであると言っては言い過ぎか。





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